


TRAILER|予告編
なぜ、闘うのか。
信仰、挫折、芸術、野望——
人間の衝動と矛盾を見つめ続けた映画作家、ジョン・ヒューストン。
生誕120年となる2026年、数々の名作群から至高の4作品を一挙上映。
映画を生きた巨匠ジョン・ヒューストンの「闘い」を横断する!



アフリカの女王 4Kレストア
The African Queen 4K Restoration
1951年/106分/イギリス、アメリカ
監督:ジョン・ヒューストン/原作:セシル・スコット・フォレスター/脚本:ジェームズ・エイジー、ジョン・ヒューストン/撮影:ジャック・カーディフ/音楽:アラン・グレイ
出演:ハンフリー・ボガート、キャサリン・ヘプバーン、ロバート・モーレイ、ピーター・ブル、セオドア・バイケル、ウォルター・ゴテル
第一次大戦中のアフリカ。イギリス人宣教師サミュエルと妹ローズは布教活動に励んでいたが、ドイツ軍の襲撃でサミュエルが急死。残されたローズはおんぼろ蒸気船「アフリカの女王号」で、酒浸りの船長チャーリーと共にドイツ軍への反撃を企てるが……。ボガートが念願のアカデミー賞主演男優賞を受賞。波乱万丈な撮影の舞台裏はのちにクリント・イーストウッド監督・主演で『ホワイトハンター ブラックハート』として映画化された。
© 1952 Remus Films Ltd. - All Rights Reserved. Licensed by Romulus Films Ltd




赤い風車 4Kレストア
Moulin Rouge 4K Restoration
1952年/120分/イギリス、アメリカ
監督:ジョン・ヒューストン/原作:ピエール・ラ・ミュール/脚本:アンソニー・ヴェイラー、ジョン・ヒューストン/撮影:オズワルド・モリス/音楽:ジョルジュ・オーリック
出演:ホセ・フェラー、コレット・マルシャン、シュザンヌ・フロン、ザ・ザ・ガボール、メアリー・クレア、クロード・ノリエ
19世紀末のパリ。キャバレー「ムーラン・ルージュ」で踊り子や酔客たちを描いていたロートレックは、名門の生まれでありながら近親婚と幼少期の事故により両脚の成長が止まっていた。ある夜、娼婦マリーを助けたことを機に同棲するようになるが、二人の関係は次第に破綻していく。アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの短い生涯を映画化。愛を渇望しながらも愛を遠ざけてしまう孤独で偉大なる画家は、最期に何を見たのか。
© 1953 - Romulus Films Ltd -All Rights Reserved




ワイズ・ブラッド
Wise Blood
1979年/107分/アメリカ・西ドイツ
監督:ジョン・ヒューストン/原作:フラナリー・オコナー/脚本:ベネディクト・フィッツジェラルド、マイケル・フィッツジェラルド/撮影:ジェリー・フィッシャー/音楽:ロベルト・シルヴィ
出演:ブラッド・ドゥーリフ、エイミー・ライト、ハリー・ディーン・スタントン、ネッド・ビーティ、ダン・ショア、ウィリアム・ヒッキー、ジョン・ヒューストン
除隊した青年ヘイゼル・モーツが帰還すると、実家に残されていたのは箪笥と墓標だけだった。彼は見知らぬ街で「キリストのいない教会」の布教を始め、盲目の説教師やその娘、無垢な青年といった奇妙な人々と出会う。やがてヘイゼルは狂気と絶望に囚われていき……。アメリカ南部の代表的作家フラナリー・オコナーの原作『賢い血』を映画化。滑稽と悲哀、俗と聖が同居する、ヒューストン後期の異色作にして呪われた幻の傑作。
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火山のもとで
Under the Volcano
1984年/112分/メキシコ、アメリカ
監督:ジョン・ヒューストン/原作:マルカム・ラウリー/脚本:ガイ・ガロ/撮影:ガブリエル・フィゲロア/音楽:アレックス・ノース
出演:アルバート・フィニー、ジャクリーン・ビセット、アンソニー・アンドリュース、イグナシオ・ロペス・タルソ、ケティ・フラド、ジェームズ・ヴィリアーズ、エミリオ・フェルナンデス
第二次大戦前夜、「死者の日」で賑わうメキシコ。極度のアルコール依存で破滅的な日々を送る元イギリス領事ジェフリーのもとへ、一年前に出て行った妻イヴォンヌが突然戻ってきた。そこへジェフリーの腹違いの弟も現れ、三人は祭りと闘牛見物へ出かけることに。“映画化不可能”とまで言われたイギリスの作家マルカム・ラウリーの代表作に挑み、自ら地獄へと向かう人間の業を、一日という限られた時間の中に描き出した。
© COPYRIGHT, 1984 ITHACA ENTERPRISES, INC.



1906年ミズーリ州ネバダに生まれる。父は名優ウォルター・ヒューストン。俳優、ボクサー、記者などを経て脚本家に。 1941年にダシール・ハメット原作『マルタの鷹』で監督デビュー、1948年『黄金』でアカデミー監督賞・脚色賞を受賞。父ウォルターに助演男優賞をもたらした。その後も『アスファルト・ジャングル』『白鯨』『荒馬と女』『ゴングなき戦い』『王になろうとした男』『女と男の名誉』など数々の名作や話題作を発表し、『枢機卿』や『チャイナタウン』など俳優としても活躍。半世紀にわたりアメリカ映画界に君臨した。遺作は娘のアンジェリカ・ヒューストン主演『ザ・デッド/「ダブリン市民」より』。

COMMENT|コメント
※敬称略
ようやく日本一般公開となった異形の傑作『ワイズ・ブラッド』をまずは中心に、可能ならば、四本すべてをご覧になることをおすすめしたい。重力の如き衝動に押されともあれ動き出した者が、やがて行き止まりに至るまで……ジョン・ヒューストン監督作に通底する本質が、しかしそれぞれ異なる質感のなかに浮かび上がる、絶妙なセレクションだと思います!
宇多丸(RHYMESTER)
もう限界だ、と思ったところは決して限界ではないのがジョン・ヒューストンだ。
容赦のなさに限界がなく、純粋さにも限界がない。笑いにも美しさにも呆れてしまう。
『ワイズ・ブラッド』、なんて映画だ。超面白いとしか言いようがない。
三宅唱(映画監督)
失敗には、まだ自由が残っている。成功は目的地しか知らないけれど、失敗は世界を知りそこねながら、なお知りゆく。世界は距離でなく迷いによって測られる。もっとも遠い旅は、一歩も前進しない。ヒューストンは英雄を歩くしかなくなるまで歩かせる。旅の果て、立つのは墓標ばかり。英雄映画を墓場まで連れていった作家。近道など、おぼえる気はさらさらなく。
五所純子(作家・文筆家)
『アフリカの女王』の脚本を書いたジェイムズ・エイジーはジョン・ヒューストンを「監督できない映画監督」と喝破した。このすべてが規格外である筋金入りのエピキュリアンは、〈作家主義〉など嘲笑する かのように、平然と名作、傑作、珍作を量産して恥じることがない。この破天荒でアナーキーな雑食性こそヒューストンの真骨頂である。とはいえ『赤い風車』『ワイズ・ブラッド』『火山のもとで』に通底するのは敗残者への透徹した寛大なるまなざしだ。今こそ、アメリカ映画史上唯一無二の知的野蛮人ヒューストンの〈必敗の哲学〉を讃えよう。
高崎俊夫(編集者・映画批評家)
これほど陽気に呪われている映画は観たことがない!
中原昌也(ミュージシャン・文筆家)
※『ワイズ・ブラッド』について——アテネ・フランセ文化センター「中原昌也への白紙委任状」での紹介文より抜粋


